鎌田紳爾先生CDブック全国発売!

走れメロスの津軽語訳 走(は)っけろメロス

走(は)っけろメロス

表紙

津軽語訳:メロスぁうって (おご) った。必ず、あの邪智暴虐 (じゃぢぼうぎゃぐ) の王ごと除がねばまねって決意した。

太宰原文:メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かねばならぬと決意した。

鎌田紳爾先生がCDブック「走(は)っけろメロス」を出しました。この本は太宰治の「走れメロス」と「魚服記」を鎌田先生が津軽語(注)に訳し、朗読したCDブックです。この本が東京の出版社「未知谷」から、2009年の太宰治生誕100年企画として、全国書店で発売されています。

注:日常会話の津軽弁に対して、内的言語を津軽語と便宜上区別した。

鎌田先生に聞く出版の経緯

2007年夏、北海道立文学館で行われた「太宰治の青春」展のイベントとして津軽語に訳した「魚服記」を朗読したところ意外に好評だった。次は太宰の名作「走れメロス」を訳してはと言われ、その朗読会を開いたところ東京の出版社の目にとまり出版することになった。

五所川原市金木生まれの太宰治は終生津軽訛りがぬけなかったという。彼の小説を読むと津軽弁的用法がときどき顔を覗かせる。ひょっとすると太宰は津軽弁から共通語に頭の中で翻訳したのではないかと考えた。ならば反対に共通語から津軽弁へ翻訳してみたらどうなるか興味があった。

私もネイティブな津軽弁スピーカーなのでたいして苦労はしなかった。魚服記は津軽が舞台なので何の違和感もなかったけれど、ギリシャが舞台のメロスはどうなることかと思ったが、訳してみてメロスがもともと津軽人ではなかったかと思うほどぴったりはまったのは予想外の驚きだった。

内容

ビガビガしたCDが付いてます

ビガビガしたCDが付いてます

この本は津軽語訳をメインとしてあるが、下に太宰の原文も並記することで、津軽弁を知らない人たちにも十分理解できるようになっている。(これは朗読会を聞きに来た東京出身の新聞記者が、聞いただけだとほとんどわからないと言ったことによるという)

この本は朗読のCD(約70分)と津軽語の訳文、そして原文がついて2500円(税別)というのはかなりお得だと思う。(巻末に鎌田先生の丁寧な解説「原初、メロスは津軽人であった」もついています)

注目ポイント

対訳になってます

対訳になってます

走っけろメロスの朗読会のとき何人もの人が涙しながら聞いていた。きっと故郷津軽を離れ暮らす人たちにとってもなつかしく思うのではないだろうか。津軽語訳文と原文のどちらがオリジナルなのかわからなくなったとは朗読を聞いた人の感想です。

詳しくは下記のリンクから(新聞社の記事は掲載期間が短いかもしれません)
毎日新聞(2009-6 無くなってます)
陸奥新報(2009-6 まだ見られます)

オンライン書店でも購入できます。
Amazon
ジュンク堂
紀伊國屋書店BookWeb

2009年6月19日(金曜日)午後9時50分、NHK教育テレビ「視点 論点」に 鎌田紳爾先生が出演し、「『走れメロス』津軽版」と題して約10分間、話しを しました。この日は太宰治の生誕100年の「桜桃忌」。生涯津軽訛りのぬけなかった太宰の文学を彼の頭の中で響いていたであろう津軽語を通してとらえ直してみようというお話でした。走っけろメロスの朗読を一部紹介し、太宰の作品の言葉の元になった津軽語をネイティブな発音で説明する鎌田先生は、バイリンガルでした。 (2009-6追記)

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