明るさ・コントラスト・色合い調整

ここで説明すること

例えば露出の足りない写真を修整することです。

この場合は、「明るさ-コントラスト」というツールがあります。名前と機能が合致してわかりやすいツールですが、ここではヒストグラムを操作する方法て行います。

次のような理由で、ヒストグラムを操作する方法を優先して説明します。

  1. 変換の仕組みを理解できるので、できることとできないことの見極めがはっきりする。
  2. 「明るさ-コントラスト」などのツールはソフトにより微妙なくせがあり、別のソフトでは応用が利かない可能性があるが、ヒストグラムそのものは仕組みが共通なので知識と経験が蓄積されるとどのソフトでも使える。
  3. 「明るさ-コントラスト」などのツールはやってみたらできたというツールなので特に説明することもない。

色カーブでヒストグラムを操作

ヒストグラムを操作するツールを日本語のgimpでは色カーブと訳しています。英語で Color Curves なのでこれ色曲線かこれかというところでしょうか、機能が今ひとつわからない言葉になっています。要するに色の変換のための対応を表す曲線です。

まず、これがヒストグラムです。現在「明度」になっていますから横軸が明るさで、縦軸がその明るさのピクセルの数です。暗いピクセルの多い写真です。

次が色カーブです。真ん中の左下から右上への対角線が色カーブです。横軸は現在の明るさ。ヒストグラムが薄く表示されています。

この対角線の真ん中あたりをドラッグして曲線にしてみると、プレビューのチェックを付けていれば自動的に結果がわかります。

[OK]ボタンで決定です。もう一度ヒストグラムを見てみます。暗い部分が引き延ばされた結果、透き間が空いて広がっています。

カーブの意味するもの

カーブは基本的には明るさの変換を示します。横軸の値を縦軸に変換します。初期値は対角線ですので値が変わりません。

Gimpではこの変換の対応が横軸上(A)でも分かるようになっています。下半分の明るさの部分が上半分の明るさになります。

でも明るさの次の事実にも注目すべきです

B
狭い範囲の明るさの差が広い範囲に引き延ばされています。見た目ではコントラストの増加となり微妙な差で区別が付かなかったものが分かるようになります。説明の写真では葉の中に梅の実が見えるようになりました。
C
広い範囲の明るさの差が狭い範囲に縮められます。コントラストが低下すると言えますが,細かな明るさの差が失われるということを意識する必要があります。
D
C部の極端な例です。この範囲の明るさの差が全て失われ,同じ明るさとなります。この例では最上部ですから真っ白になります。説明の写真では空の部分ですがここには見えなくなって困るものがありませんからこれでもかまわないわけです。

ヒストグラムの操作で情報が失われる

説明の例として使った写真では葉が1枚1枚判別できるようになりましたし,実も確認できるようになりました。写真が私たちにもたらしてくれる情報量が増えたと感じます。

しかし事実は逆です。C,Dの部分では情報が失われています。Bの部分では違いを強調しただけで情報は増えていません。(明るさがなめらかに変化するよう平均かすることがありますがこれは嘘の情報を加えることになります)

説明したいことを強調するのに大切でないところを省略するのは悪いことではありませんが,2つのことを心にとめてください。

  1. どこを強調してどこがいらない情報かを正しく判断すること
  2. 加工を繰り返すと必要な情報まで失われる可能性が高い。大切なものは加工前の写真(オリジナル)を保存する。特に異なる視点から加工する時には元の写真から加工すること。

明度以外に赤緑青別々に

「チャンネル」の部分は初期値で「明度」になっていますが,ここを「赤」「緑」「青」と切り替えて色合いの調整もできます。図は青のカーブを下げて全体が青っぽくなっていた写真を自然な色に戻そうとしています。やりすぎると青の補色の黄色っぽくなってしまいます。

「明度」の調整は「赤」「緑」「青」を同時に動かすことと考えられます。

調整例

なにかを強調するために他のものを切り捨てる行為です。目的により正解は異なります。説明文から何を残したかったか読み取ってください。目的が違えばやり方も違います。

明るくしすぎると雪の柔らかな積もり具合が分からなくなりますから控えめに。全体として青っぽくなっているのも修正しました。

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カメラが実際の明るさより明るくとらえました。シルエットになっている部分の情報は必要ないので暗くつぶして夕日部分のコントラストをあげます。特に赤を強調しなくてもより赤く見えるようになります。

3008x2000  850x565

昼下がりの岩木山で写ったとおりの景色なのですが,朝の澄んだ空気であるかのように加工します。傾きもなおします。

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一枚目が元の写真。一般に白い花は難しいものですが,これはいったんプリントしたものをカメラで撮影し直しているため状況は複雑です。一見白くとんでいるように見える花ですが,明暗の情報は残っています。これは難しい。

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雪が明るいために紅葉が暗く写り色がでません。雪も少し青みをかぶっています。雪を白くしつつ葉だけを赤くするのはコツがいります。本物より赤くなってしまったかもしれません。2つ目のものは切り取りもしています。

3008x2000  850x565

明るくしただけですがやりすぎると花が平坦になってしまいますから控えめに。いろいろな切り取りをしています。切り取る場所により調整の度合いも変える必要があるかもしれません。

3008x2000  850x565

課題

調整例のなかから好みの写真を選び例に習って調整します。まったく同じにする必用はありません。より魅力的な写真にしてください。

それぞれ大きな画像を2つ用意しました。内容は同じです。3008x2000のデータ量はかなりあるのでコンピュータの性能によっては扱いが苦しいことがあります。その場合は850x565をやってください。

画像を表示したら右クリックで「名前を付けて保存」を選び名前を変えずに「kadai」フォルダに保存します。

修正したら、[別名で保存]をします。名前はそれぞれの調整例の最初にある名前にします。たとえば、juki.jpg, yuhi.jpg, iwaki.jpg, wcrocus.jpg などです「kadai」フォルダに保存します。元の画像は削除して構いません。


Gimpを使った画像処理(Jul.2009)
聖愛中学高等学校
http://www.seiai.ed.jp/
Jan.2010加筆