宗教主任 石垣 雅子

聖書の言葉

だから、今それをやり遂げなさい。進んで実行しようと思った通りに、自分が持っているものでやり遂げることです。

新約聖書 コリントの信徒への手紙II 8章11節

I

わたしは授業の中で、「あなたの意見を述べなさい」と生徒に聞くことがあります。すると、生徒はなかなか答えられません。1年生の生徒ならばさもありなんと思いますが、3年生であっても状況は一緒です。仕方のないことかもしれないのですが、いつもちょっと残念な気持ちになります。答えない色々な理由があるのだろうと思います。でも、生徒たちに考える力がないとは思いません。自分に自信がないのかなあと考えたりします。
このような自信のなさというのを様々な場面で感じることがあります。これは生徒だけではなくて、わたしたち大人も含めてのことです。自信がないが故に強がってみたり、自信がないが故に大きく見せようとしたりすることは大人の世界でも多々あることです。そのためにまわりの人を傷つけたり、自分自身に無理をかけたりしてしまうこともあるわけです。他人のことをうらやましがったり、ねたんだりひがんだりして、心を乱してしまったりもするわけです。

II

今日の聖書はパウロという人がコリントの教会にあてて書いた手紙の一部です。その中にこうありました。「だから、今それをやり遂げなさい。進んで実行しようと思った通りに、自分が持っているものでやり遂げることです」と。これは、自分に本当の意味で自信を持って生きることを教えているのではないかと思うのです。わたしたちは自分にはあれがないとかこれがないとか言ってすぐに言い訳してしまうのです。他人の持っているものをうらやましいと思ったり、反対に自分にはこれがないからどうしようもないんだとすねてしまいたくなるのです。
そうではない。自分の今持っているもので今やるべきことをやりなさいとパウロは語っています。自分の持っているものでやるとは持っていないとあきらめてしまうことではないのです。実際に動いてみる、行動を起こしてみることです。
わたしたちは自分自身が何を持っていてどんな良いところがあるのか気づいていません。自分自身のことが見えていないわけです。だから、自分に自信が持てなかったりします。あるいは、間違った意味で自信を持ってしまったりして傲慢になるのです。今持っているもので一生懸命やっていく中、あきらめないで力を尽くす中、新しい展開が開けるのだと思います。そして、わたしたちは本当の自信を得ていくのではないでしょうか。自分自身の素晴らしさやかけがえのなさに気づいていけるのではないでしょうか。そうでありたいと願います。