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2012年入試(国語)

解説

問一
☆「逸材」 の「逸」は、「すぐれる・ぬきんでる」 という意味 であり、「材」は「性質」という意味で、「逸材」で「すぐれた 性質」という意味になる。
①「素材」・②「材木」・③「材質」には、「すぐれた」という 意味はない。 ④「人材」だけが、「すぐれた性質( を持った 人)」という意味を持つ。
よって、正解は ④ となる。
問二
☆「誤解にすぎない」の「ない」は、「すぎる」というの動詞の 連用形に接続をしている打ち消しの助動詞であり、「…すぎな い」の形で断定を強めている言い方となっており、「ぬ」に置 き換えることができる。そこで ①~④の選択肢の中から打ち 消しの助動詞にあたり、「ぬ」に置き換えることができものを 探してみる。①「少ない」・④「はしたない」の「ない」は、 ともに形容詞の一部であり、③の「解けなくもない」「ない」 は 打ち消しを表す形容詞である。②「認められない」の 「 ない」は「られる」という可能の助動詞に接続している打ち消 しの助動詞であり、「ぬ」に置き換えることができる。
よって、正解は ② となる。
問三
☆しりとりなので2には、「質」という漢字が入る。次に、「動」 を含む熟語で「質」とつながる熟語を考えると、「物」という 漢字を使う「物質」という熟語が浮かぶ。
よって、正解は「物」となる
問四
☆まず、「その表現をとった」とあるので、「その表現」とはどの ような表現か前の部分から探してみると、「遅いぞ、何やって んだ。」という表現があり、さらに「どうしてこんなに遅いん だ。」と同じような言葉があるので、すぐその後ろの「大幅遅 刻の理由を問い詰める」ために「その表現」つまり「遅いぞ、 何やってんだ」といことばになったと考えられる。 その部分 から、解答用紙の「意図」 に続くように十五字以内で抜き出 すようにすればよい。
正解は 「大幅遅刻の理由を問い詰める」(十三字)(意図)
問五
☆ここでの「力が抜ける」とは、直前の部分の「宴会場で器…… 催促しようと、器の一つを掲げて「これ、何?」と皮肉をいっ たつもりが、まじめ一方の……「コップです。グラスともいい ますが。」などと答えられたことよつて「力が抜けた」 のであ る。つまり、「力が抜けた」 とは、飲み物を催促したした人の 意図とは違う答えが返ってきたことにより「がっかりして力が 失せた」ということである。①「私の意図したことが十分に伝 わった」・② 「私の予想通りの答えをした」・④ 「サービスに も期待が持てなさそう」は、「力が抜けてしまう」 の意味とは ちがっている。 ③は「予想に反した答えが返ってきた」 ので  「がっかりして力が失せた」ということである。
よって、正解は ③ となる。

問一
☆ 歴史的仮名づかいの読み方は、[語中・語末のハ行音「は ひ・ふ・へ・ほ」は、「ワ・イ・ウ・エ・オ」と読む。また 二つの母音が重なる場合は長音で読む] ことになっている ので、この歴史的仮名づかいの読み方が すべて当てはまる は④であり①・②・③ともに当てはまらないところがある。
 よって正解は ④ となる
問二
☆ 「かやうに」とは、「このように」 の意味であり、直前 に「親にも」とあるのでこの部分は「親にもこのように思 われる」という意味になる指示語である。この指示語より 前の箇所から当てはまる箇所を探してみると、「 夫婦思ひ けるやう」また「~と思ひける」とあるので、「夫婦(親) の思っている」ことを、十九字で探すと、「 あの、一寸法 師めを、いづかたへもやらばや」が見つかるので、その最 初と最後の五字を抜き出す。
 よって正解は、最初…あの一寸法    最後…もやらばや
 となる。
問三
☆ この部分の現代語訳を見ると、「 親にもこのように思わ れる」とあるので、ここでの「るる」の意味は「受身」で ある。①の「食べられる」は「可能」の意味であり、③は 「先生が…行かれる」で「尊敬」の意味であり、④の「思 い出される」は、「自然とそうなる」の意味で「自発」 で ある。②の「家がながされる」は「受身」の意味でる。
  よって正解は ② となる。
問四
☆ ア・イ・ウそれぞれの「思ひ」の部分を、現代語訳を参 考にし主語を考えてみる。ア「二人は……思いめぐらして」 とあるので、二人とは夫婦のことなので、主語は夫婦。イ 「刀なくては……と思い」とあるので、「 刀を必要として いる人・一寸法師」が主語であり、ウ「都へ上ろうと思っ たが」とあり、これから「都へ上ろうと思った人」つまり 一寸法師が主語である。
 よって正解は ① となる。

問二 
傍線部1「昔ながらの島の生活」は「歌の中にある」ので、歌の内容を探す。 次の行の「それはそれを歌ってくれた」から、次の行に「そんな風に家族が家族として安全だった時代」とあり、さらに次の行に「それは日本中のどこへ行っても同じだ」とある。指示語を追っていくと歌の内容は「同じだ」以降の内容であることがわかるので、正解は④。
問三 
問二で導き出した「家族が家族として安全だった時代」に営まれていた生活が失われることが「胸を打った」のであるから、あてはまらない。正解は①。
問四 
傍線部3「大切な歌」には「この大切な歌」と指示語がある。「この歌」はお店の人が歌と三線で歌ってくれた島の歌のことなので、5ページ下の段2行目「昔ながらの家族のり方のすばらしさを歌っている」が正解。
問五 
傍線部4の前の行「家族のちぎりを交わしたみたいにしみじみといっしょにいた。」とあるので、正解は③。
問六 
傍線部6の2行後から「きっと、~と思える事があった。」とあってから、「ああ、お母さんは~」とあるので、正解は③。
問七 
傍線部7の前の行「そうすると何かきっと、とりかえしのつかないことになってしまう」とあり、このことが「こわかった」ので、「そうすると」の指示する前段を見ると無関心な父が描かれているので、正解は②。
問八 
傍線部9にある、母が受け入れることができない事実とは何か。    母は、母自身に興味を持ち、あれこれと質問してくれる理想の王子様を望んでいるので、実は王子様は幻想で、そういう人物はいないのだということなので、正解は④
問九 
家族旅行で訪れた沖縄で、3人家族の絆を感じるどころか父と母の気持ちが微妙にすれ違っていっていることを「私」が気づき、不安に感じているので、正解は①。

問二 
本文の構成を問う問題
【Ⅰ】段落で、「功利主義の考え方」では「効用」を「ひとの福祉の基準」とみなすことについて述べ、【Ⅱ】段落以降、その「功利主義の考え方」におけるいくつかの問題を述べていく構成になっているところに注目する。すると、各段落の冒頭部分から、【Ⅱ】段落で「第一」の問題点、【Ⅲ】段落で「第二」の問題点、【Ⅲ】段落で「第三」の問題点を述べていることは明瞭であり、【Ⅱ】~【Ⅲ】段落は並列の関係にあることがわかる。そして、【Ⅴ】段落以降、功利主義の唱えた「効用」に代わり、「機能」という概念が紹介されていく展開になっているところからも、正解は②である。
問三 
空欄に入る語の組み合わせを選ぶ問題
 各空欄に入るべき語を選択肢から確認すると、空欄Aには「大きい」または「小さい」、空欄Bには「可能」または「不能」、空欄Cには「劣る」または「優る」が入ることになる。文脈から判断して、二つのうちどちらが適当かを判断する。
 空欄Aは、「幸福ないし欲望充足の度合」が「効用」であるから、社会全体の効用の総和が「小さい」よりも「大きい」方がより「幸福・欲望」が充足している望ましい状態と考えられ、「大きい」が入る。空欄Bは、その前に「幸福や欲望充足は主観的な感覚」であり、その度合を「客観的数量として計測することは困難」だとあり、「功利主義」における「効用」の基準は「客観的」な評価をするのに適さないということを述べていることをふまえ、「二〇世紀以降の経済学」は「一九世紀以来の功利主義」と異なり、「客観的」に「観測可能」な概念に基づいていこうとするものと考えられる。空欄Cは、「幸福・欲望充足の水準という功利主義の評価基準」においては、裕福だが欲望が満たされないAさんと、貧しくても欲望が満たされているBさんのどちらが評価が高いことになるかを比べ、「欲望充足」の度合でいうと、Aさんの方がBさんよりも「満たされていない」のだから「劣る」と考えることができる。そう考えると、空欄C直後の「しかし」でつながる逆接的内容も生きてくる。したがって、組み合わせは①が正しい。
問四 
傍線部1の問いかけに対する答えを見つける問題
 「効用」という基準(水準)は「ひとの境遇の良さを測るのに適切な尺度」なのかどうかという問いかけに対して、一文の形で答えている箇所を注意して探す。すると、【Ⅲ】段落の最後に「このように、効用の水準は~基準として適切ではないのです。」とはっきり述べている一文があり、ここが正解箇所となる。
問五 
傍線部3が指す内容を選ぶ。
 傍線箇所の「物理的条件の無視」という言葉は、「功利主義の欠点」を述べた【Ⅲ】段落の内容を要約した表現である。よって、「功利主義」における「効用」の基準は「物理的(=ここでは主観的ではないものを指す)」に何を「無視(=見落とし)」しているのかを考える。【Ⅲ】段落冒頭では、「幸福・欲望充足という主観的感覚は、その個人の形成してきた習慣や、置かれている社会的環境にも強く影響され」るとある。その後Aさん・Bさんの例を通して個人の「習慣や社会的環境」の影響がいかなるものかを述べ、「このように、効用の水準は習慣や社会的環境などに影響を受けるため、その個人の置かれている客観的な状況を評価する基準として適切ではない」と結論づけている。つまり、「功利主義」における「効用」の基準は個人の「習慣や社会的環境」に大きく影響されるのに、それを見落としているために「客観的基準」として適切ではないと述べているのである。よって、正解は②。
問六 
指示内容を問う問題
 【Ⅳ】段落前半で、ある喫煙者の例を用いて、「欲望を充たす」ということと、その人自身がその行為を「評価する」ということとが必ずしも一致しないということを説明し、人間のより良い状態を問う「福祉」とは、「評価する」という人間の精神的活動により深く関わるものだということを述べている。つまり、「福祉」とは「欲望を充たす」というその人の主観的な行為よりも、自分の行為を「評価する」という、その人の客観的かつ精神的活動の方により関わるものであるということになる。よって、正解は① である。②・③・④は前半は正しいが、後半が合致しない。
問七 
傍線部5「機能の水準」を決めるものを問う問題
 「功利主義」における「効用」に代わる福祉評価の基準として提唱されるようになった「機能」についての問題。傍線部5の後に、「機能の水準を決めるのは、入手できるモノやサービスの種類と量だけではなく、それぞれの個人的属性--健康状態、障がいの有無など--や、置かれている社会的環境--公衆衛生、社会的差別の有無、社会のインフラストラクチャ等々--なのです。」とあり、答えの内容ははっきりしている。この中から「所得や富」に関わる要素(=「入手できるモノやサービスの種類と量」)を取り除き、25字という字数にあてはめて考えると、具体例を省いて「それぞれの個人的属性や置かれている社会的環境。」ということになる。
問八 
「幸福・欲望充足の水準(=効用の水準)」として適当でないものを選ぶ問題
 選択肢をみると、「効用の水準」ではないもの、すなわち「機能の水準」を選ぶ問題となっている。【Ⅴ】段落中頃に「それぞれの個人が実際に『なし得ること、なり得るもの』を『機能』と呼びます」とあり、その具体例もある。①・②・④はそれぞれ「幸福・欲望」を充たそうとするものであるのに対し、③は「目的地」に速くスムーズに移動するという「なし得ること」としての機能的な側面を述べており、正解は③となる。
問九 
傍線部7の理由を問う問題
 比較的やさしい問題である。傍線部7の後に「機能という観点からひとの境遇を見ることによって、この社会にあるさまざまな差別、公共サービスの欠如、インフラストラクチャの不備といった社会問題に私たちの目は開かれていくのです。」とある。つまり、「機能」という観点でものごとを見ることは、問七でも触れたように、それぞれの個人の属性や社会的環境といった「ひとの境遇」を見ることにつながり、ひいてはさまざまな社会問題を見ることにつながるということをいっているのである。その内容を述べているのは②である。①は「さまざまな水準をはかることができる」が×、③は「所得や富に応じたモノやサービスの種類と量を知ることによって」が×、④は「個人が『なし得ること、なり得るもの』の水準を高めることができる」というところが不適当である。
問十 
本文の内容に合致するものを問う問題
 ①は「幸福・欲望充足の度合」が高い人の例があるから「現在も効用の水準は有効な手だてといえる」とするところが本文とは合致しない。②は「所得や富が多ければ、機能の水準も高くなる」というところが本文とは合致しない。本文では「所得や富」だけで機能の水準をを高められるとは限らないと述べている。③は「幸福・欲望充足の水準」から見ると、「前者」よりも「後者」の方が恵まれていることになり、合致しない。④は「ひとの福祉の基準」として「効用」にかわり「機能」が提唱されるようになったとする本文の流れをふまえており、合致する。正解は④。   

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