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2017年入試(国語)

解説

問一
空欄 A は「単なる長方形にしか」見えないのだから、平面の二次元。平面である二次元の長方形に水が入っているように見えるから「不思議」に思うのである。空欄 B は「立体」とあるのだから、奥行きが生じる三次元が答えとなる。
問二
「新しい認識」も「暫定的な理論でしか」なく、「仮説に過ぎ」ないとある。つまり、「新しい認識も一時的なもので、他からの影響で変わる可能性がある」ということ。「絶対的な真理」ではないのだ。「絶対」というのは、他からの影響に関わりなくそれ自体に価値を持ち存在することである。
問三
 「わかってくるのではないでしょうか」傍線部「ない」は補助形容詞という。普通の形容詞「ない」は存在に関わる語。「今はお金がない」とか「青森には地下鉄がない」とか使われる。補助形容詞「ない」の見分け方は「~はない」という言い方ができるかどうか。③「少しも寒くない」は「少しも寒くはない」と言い換えても、意味が通じる。
問四
「進展」=進む・覧る(みる)
「認識」=認める・識る(しる)
「観察」=観る・察する
すべて「同じような意味の漢字を重ねた」熟語である。

問一
「酒田の余波日を重ねて(酒田の人々と別れを惜しんで滞在の日を重ねていたが)、北陸道の雲に望む。遥遥のおもひ胸をいたましめて、加賀(金沢)の府まで百三十里と聞く。」とある。酒田から北陸道の旅に出発するにあたり、加賀(金沢)まで百三十里あるというこれからの長い旅路に思いをはせる作者の心情を選ぶ。「遥遥(えうえう)」は「距離がはるかに隔たっているさま」、「胸をいたましめて」は「胸を痛め」という意味。正解は③
問二
語中語末のハ行音はワ行音になる。また、母音が連続するときは長音となる。したがって、「tahu(たふ)」は「tau(たう)」となり、「au」の音は「o」と長音になるので、「よこたふ」の現代仮名づかいは「よことう」となる。「よこたう」も可。
問三
「荒海や~」の句の季語は「天河」(秋)である。
問四
「おくのほそ道」は松尾芭蕉の代表作である。正解は②

問二
ハジメの行動に合致する副詞を選ぶ問題。直後に「突然、怒りだした一番にどう対応すればいいのかわからないようだった」とあるので、驚きうろたえるさまを表す②が正解である。
問三
「頬を熱いものがつたっている」とは涙を流していることを表す常套表現である。この部分の会話から、一番が泣いている理由を考える。この四行後に「なんでぼくじゃなくてきみなんだ?」とハジメに言っていることから、ただ単に母親が奪われる心配をしているのではなく、一番の両親と食事をしたりヨシオからDVDをもらったりしているハジメに自分が体験したことのない家族だんらんの姿を見ており、それに悔しさや悲しさを感じているのだと分かる。正解は②。
問四
ハジメの心情を問う問題。このハジメの会話で、ヨシオが一番のことばかり引き合いに出していることが分かる。傍線部の直後にも「うちのママと結婚したら、~ずっとずっとおまえと比べられるんだぞ」とあるので、それが勘弁してほしいことの内容となる。
問五
一番の心情を問う問題。直前に「一番は落ち着きを取り戻し」とあることから、一番が冷静になっていることが分かる。また、自分よりハジメの方が激しく泣いたことに驚いた描写があるので、それらを総合した④が正解である。
問六
一番自身が気付いていなかった、母親と喧嘩をした理由を考える。直前に「そのきっかけ」とあるので前の文を見ると、「お父さんのマンションにいったとして、それからどうしようなんて後先のことは考えていなかった」とある。一番の考えとしてまずあったのは「父のマンションに行く」ことだったのだ。無自覚であろうが父のマンションへ行き、会うきっかけを求めていたのである。
問七
「自分の奥深いところから込み上げてくるもの」の内容を読み解く。これまでのハジメとの会話から、一番は父親と会ってみたいと思っていたことが分かる。そこにヨシオから唐突に「明日の朝はいっしょにめしを食おう」と言われたことで一番は驚きながらも喜びを感じたであろうと考えられる。①「DVDをまた見られること」への喜びだというのが×。②「見ず知らずの人の家に泊まることになってしまったことをとても心配している」姿は見られないので×。④「家を追い出されるのではないかということへの不安」は感じられないので×。
問八
ハジメと一番の二人が会話している段落とヨシオと電話で会話する段落に分けられる。ハジメと一番の会話が途切れてヨシオからの電話が鳴る「そのとき、畳の上に転がっていたケータイが鳴った。」からが第二段落である。
問九
本文全体の内容と表現についての問題。②「多彩な比ゆ表現」が本文に無いので×。③「話し言葉やカタカナ表記」は多用されているが、そのことで心の変化を描いているわけではないので×。④ハジメと一番の交流は描かれているが「父親が出演するテレビ番組を軸に」している訳ではないので×。

問一
(2)「概して」には「一般的に」「大体」「おおむね」などの意味があるが、ここでは文脈から「一般的に」が適当。正解は③
問二
□Aの前後の関係はほぼ同じ内容を言い換えたものなので、「つまり」、「すなわち」のどちらも入ることは可能。□Bの前後は原因と結果の関係なので、「したがって」か「だから」が考えられる。□Cには逆接の接続詞、「しかし」か「ところが」、□Dには複数の事柄を並べて表記するための語「あるいは」「また」が入る。すべてを満たしている①が正解となる。
問三
人々の生活に必要な生産物を生産する場所は、古くは都市の近くにあるさとやまであったが、現在では世界各国へと広がっている。「 」はその時点では「遠隔地」であったことを表しているので、正解は②
問四
傍線部3の前の「穀物などの~利用されました」に都市での生活がさとやまに依存している状況が述べられている。③が正解。①は「封建生活のもと土地を所有して」②は「都市の自然を守り、生態系を維持していくための」④は「経済的・社会的対価を得るために」がまちがい。
問五
傍線部4の前後の変化を読み取る。生物生産の場が大航海時代を経て近隣の「さとやま」から国外の植民地に移ったことを指しているので、正解は①。②は「さとやまの価値が見直されるようになった」③は侵略の話にとどまっていること④は「さとやまのシステムが再び導入されるようになった」がまちがい。
問六
本文中に示されている大規模モノカルチャーの説明をもとに制限字数内でまとめる。(a)「広大な土地」(b)「同じ種類の農作物」(c)「大量生産」の三点が採点基準となる。これがこの後の環境破壊の問題に結びついている。「安い労働力」「安価な作物」は「大規模モノカルチャー」の直接的な説明には当たらない。
問七
傍線部6の後の内容を読み取る。モノカルチャーにより環境崩壊が数々引き起こされ、直接農地開発がなされなかった地域にまでその危険性が及んでいると述べられている。よって正解は②
問八
脱文の問題。まず、抜けている文の内容を確認すると、「雲がつくられる作用が失われる」ことが述べられており、また最後が「~からです」と理由を示していることがわかる。(Ⅰ)~(Ⅳ)の前後をそれぞれ見ていくと、(Ⅱ)の前で「熱帯雨林で大規模な農地開発を行ったことによる降水パターンの変化」について述べられており、脱文がその理由となる。後の文とも自然につながるので②が正解。
問九
傍線部8の後の内容を読みとる。④は後半の「その対策を講じるためのモデルになった」が本文中にない内容であるので、正解は④
問十
全体の内容理解を問う問題。①は植民地政策の中で行われた生物生産の様式が「さとやま」が抱える~という後半がまちがい。②は後半のモノカルチャーが現在は行われていないというところが違う。③は「高価な輸入野菜」が違い、更に後半は本文中に全くない内容になっている。正解は④

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弘前学院聖愛高等学校
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