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2009年入試(社会)

解説

正解率の低かった問題を中心に解説をします。

(1)
北緯40度の緯線は、ユーラシア大陸では、ポルトガル・スペイン・イタリア・ギリシャ・トルコ、さらには中国・日本へと続き、いくつかの国の首都の近くを通ります。日本では、秋田市や盛岡市の近くを通ります。なお、誤答で多かった北緯35度の緯線は、アフリカの北部や、東京の近くを通っています。
(4)
地中海の沿岸地域に見られる、夏に非常に乾燥し、冬に雨が降る気候を、地中海性気候といいます。また、この気候のもとで、夏の乾燥に強い果樹などを栽培する農業を、地中海式農業といいます。同じような気候と農業が見られる地域は、アメリカ合衆国の西海岸・チリの中部・オーストラリアの南端・南アフリカ共和国の南西端などがあります。
(6)
経済特区は、外国の技術・資本を積極的に導入するために指定されました。アモイ・スワトウ・シェンチェン・チューハイ・ハイナンが指定されています。

(1)
北海道・千葉県・茨城県・鹿児島県・愛知県は、いずれも農業生産額が上位の道県です。1は北海道・長野県・新潟県・岐阜県・秋田県(降雪がありスキー客が行きやすい)、2は北海道・宮城県・長崎県・青森県・千葉県(やや難、宮城県や青森県が上位)、3は東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・北海道(大都市部)、5は東京都・埼玉県・愛知県・千葉県・大阪府(人口密集地域や工業地域など)が上位の都道府県です。
(2)イ 
青森県のおうとう(さくらんぼ)の生産は、山形県に次いで全国第2位です。
(3)
輪島塗・金箔工芸は、石川県の伝統産業(伝統工芸)です。岩手県の伝統産業(伝統工芸)には、南部鉄器などがあります。
(5)
東京とロンドンの時差は9時間(135度÷15度で9時間)なので、ロンドンとニューヨークの時差は5時間(14時間−9時間で5時間)です。よって、ロンドンとニューヨークの経度の差は75度(15度×5時間で75度)となります。ニューヨークは、ロンドンから見て西に位置するので、ニューヨークの経度は、西経75度となります。

(1)
2006年度の日本のカロリーベース食料自給率は、天候の不順などもあって39%にまで低下しました。国民の中からも心配の声があがり、新聞やテレビなどでも大きくとりあげられました。なお、翌2007年度は、40%とわずかですが回復しました。
(2)
米の消費はほぼ減少し続けており、米の作付け面積を減らす「減反政策」により、水田面積は減少しています。
(4)
1の石油は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦・イランなどの西アジア諸国からの輸入がとても多くなっています。2の鉄鉱石は、輸入の約80%が、オーストラリアとブラジルからのもので占められています。3天然ガスの産出上位国は、ロシア・アメリカ合衆国・カナダ・イギリスなどで、インドネシアやマレーシア・オーストラリアは、とても多いというわけではありません。しかし、日本からの距離が比較的近く輸送費が安いことから、日本の輸入が多くなっています(正解、やや難)。4の羊毛はオーストラリアや台湾、5の綿花はアメリカ合衆国やオーストラリアなどからの輸入が多くなっています。

(5)
国民政府との内戦を率いた共産党の中心人物は毛沢東です。 彼によって、中華人民共和国の建国が宣言されました。 これは、1949年であって日本の敗戦後のことです。  また、孫文を臨時大総統とするアジア最初の共和国中華民国が建国されたのは1912年のことです。
(6)
1アメリカとの関係を強化する内容であった新しい安保条約は,国民の反対にも関わらず国会で強行採決されたため、 大規模な反政府運動がおこりました。これは1960年のことです。
21973年,第四次中東戦争をきっかけに石油価格の上昇がおこり,世界経済は大きな打撃をうけています。 これを石油危機といいます。
(7)
関東大震災が起きたのは1923年、カードで言えば4枚目にあたります。  明治以降は事がらが多く何から手を付けていいか、勉強しようにも意欲がわきづらいかもしれません。  まずは、頭の中を整理してみましょう。実際に、簡単な年表を書くことや、年代を区切るために手を  使ってみることをおすすめします。

取り上げた史料の解説

A.
史料中に「頼朝公(源頼朝のこと)」、また(1)の問題文中に「執権北条泰時」の定めた法律とあることから、鎌倉時代に制定された御成敗式目(貞永式目)です。
B.
(3)の問題文中に「防人(さきもり)」とあることから、これは奈良時代につくられた和歌で、奈良時代の末にまとめられた万葉集におさめられています。
C.
史料中に「アメリカ領事裁判所において取り調べ」とあり、領事裁判権について述べていることから、江戸時代末に結ばれた、領事裁判権を認め、日本に関税の自主権がない日米修好通商条約です。
D.
この史料は、古墳時代に大和朝廷の大王が中国の皇帝へ送った手紙です。このころ、大和朝廷は、朝鮮をめぐってたびたび中国へ使者を送っていいました。
E.
(6)の問題文中に「当時の幕府が豊臣氏を滅ぼした」とあります。豊臣氏を大阪の陣で滅ぼしたのが徳川家康であることから、当時の幕府は江戸幕府のことであり、この史料は江戸時代につくられた武家諸法度です。

問題の解説

(5)
古墳時代は、渡来人の役割が勉強のポイントとなりますが、大和朝廷と朝鮮との関わりも重要です。そのため日本との関係が深い高句麗・百済・新羅の三国は、それぞれの国の位置もしっかりおさえてください。特に百済・新羅の位置は要注意です。
(6)
1 「管領」は、室町幕府で将軍の補佐役として設置された役職です。鎌倉幕府の執権や江戸幕府の老中と混同しないように気をつけてください。   
2 「開拓使」は、明治時代に北海道開拓のために設置された役所です。
3 正解(元禄文化) 
ポイント…江戸時代の文化については、人物や作品を元禄文化か化政文化に区別できるようにしておくことも大切です。
4 「平等院鳳凰堂」は、平安時代に浄土信仰の影響を受けて宇治に建設された、代表的な阿弥陀堂です。

(1)
1クーリングオフの内容です。2消費者の四つの権利を提唱したのはルーズベルト大統領ではなく、ケネディ大統領です。3製造物責任法(PL法)によって、製品の欠陥によって消費者が被害を被った場合、企業は過失の有無にかかわらず責任を負うこととなっています。4契約上のトラブルから消費者を守るための法律は消費者契約法です。
(4)
4介護保険には40歳以上の国民が加入し、介護が必要になったときに、必要な介護サービスを受けることができます。3総人口における65歳以上の割合が7%を超えた社会を高齢化社会、14%を超えた社会を高齢社会といいます。

(5)
このグラフは年齢別の女性の働いている割合を示しています。2つのグラフを見てわかることはたくさんあり,また,比較して分かることもたくさんあります。
現在の日本では,男女共同参画社会に向けての取り組みが徐々に進められてきています。男女雇用機会均等法の制定・改正や,男女共同参画社会基本法の制定・施行により,男女の区別なく,個人として能力として生かすことができる社会づくりが目指されています。
いずれのグラフの曲線も一度下がってから上がっているのは,子育てが一段落した女性が再び働き始めることが影響していると考えられます[選択肢1]。出産や育児による働く女性の環境の変化が,グラフではM字型(雇用,曲線)という特徴で表れています。
2つのグラフで,割合が最も高いところに変化が見られる一因として,女性の晩婚化の傾向が考えられます[選択肢2]。また,2つのグラフを比べると,働いている割合が増加していることから,この10年間に女性にとって働きやすい環境が整えられてきていると考えられます[選択肢3]。大学への進学率が高まったことにより,女性の高学歴化も進みました(2006年,文部科学省生涯学習政策局「学校基本調査報告書」)。それを生かし,働く女性も増えています。
いずれのグラフの曲線も50歳代から急激に下がっているのは,年金制度の充実により,生活の心配がなくなったためであるとはいえません[選択肢4]。年金制度は,日本の社会保障制度においても重要ですが,その充実により生活の心配がなくなったとはいえません。特に,報道で取り上げられていますが,給付額が十分ではないために,生活上苦しんでいらっしゃる方もいます(2006年度老齢年金月額平均53249円,厚生労働省年金局)。これからの社会保障のあり方を考えることは,社会のしくみをどう変えていくのかということでもあります。

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弘前学院聖愛高等学校
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