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2014年入試(国語)

解説

問一
「冷たい」「冷たさ」は形容詞とその活用語尾を「さ」に変えて名詞化した関係である。本文中で同じ関係にあるのは、「寒い」と「寒さ」
問二
(1)「程度」は意味の似た漢字を重ねたものである。④「容易」は「容」「易」ともに「たやすい」「やさしい」という意味
(2)「童心」は上の字が下の字を修飾するものである。②は「朗」が「明るい]「報」が「知らせ」という意味で「明るい知らせ」
問三
「冬の寒さ」を「冬将軍」「吐く息が白い」と人間やその動作にたとえているので、答えは③擬人法
問四
松尾芭蕉の作品は④『奥の細道』

問一
歴史的仮名づかいを現代仮名づかいに直す問題。「はひふへほ」は「わいうえお」にする。「すべて」と指示されているので、答えは「あたえたまわば」となる。
問二
文章の構成を問う問題。前半は、「ある時」の、「かたつぶり」をめぐって「鷲」と「烏」が話しているエピソード。後半は、そのエピソードで作者が言いたいこと、という構成になっている。後半は「そのごとく」(この話のように)からである。
問三
(1)「案」とは誰の案か、「し侍りければ」の主語は何かを考える問題。「簡単にかたつぶりを取って食べることができたのは」、「鷲が」「烏の案」に従ったからである。
(2)「烏の案」なので、最初は、原文の「烏申しけるは」の後から、最後は、引用の終わりを示す「といふ」の前までを抜き出せば良い。
問四
文章構成上、後半から見つけよう。字数を考えること、「べし」(べきだ)という語に注目し、「智者の教へに従ふべし」を抜き出す。

問一
「第一には草花の苗を買う銭がなかったし、第二に、苗を買ってもそれを植える畑もなかったし、第三に、畑があったとしても、水をやったり日よけをこしらえたりする暇がなかった。私はそれほど忙しかった。それで、忙しい仕事のひまひまに、夜店の草花屋の花をながめたり、道ばたに咲いている花を歩きながら見たりして我慢していた。」とあります。正解は②。④の選択肢は「多忙になることを嫌った」という内容が、本文中にありません。
問二
「夜店の草花屋の花をながめたり、道ばたに咲いている花を歩きながら見たりして我慢していた。」という部分を、20字以内でまとめます。答えは「夜店の草花屋の花や道ばたに咲いている花。(20字)」
問三
表現の問題 A「霧が降りる」 C「霜柱が立つ」です。 「時雨」は秋に降る冷たい雨をいいます。
問四
「友達に逢いたいと思うのと同じように花に逢いたいと思うのであった。
それである日、運動場のすみに咲いている美しいカタバミの花を見つけたときの私のうれしさといったら、非常なものだった。」とありますので、正解③「カタバミに自分の境遇を慰めてくれる友人のような親しさを感じ、つらさを紛らわそうとする心情。」に合致しますし、3回繰り返されているところにも注目しましょう。夏から秋に移行していくなかで、「カタバミ」が「私」とってどのような意味をもっていたのでしょうか。
選択肢②は「屈折した心情」が×。「屈折した心情」とは『素直でない気持ち』のことを言います。
問五
「ああ、私がどんなによろこんだかとても話せない。じつにみごとな菊の花がはいって来たのだ。」とあるように、「おっかさん」は「私」を喜ばせようと思って菊の花を差入れしたのです。正解は①。
問六 
「おっかさん。おっかさん。こうして菊の花に日があたっているうちは、おっかさんの小さいからだにも日があたれ。」と言っているところから、「おっかさん」と「菊の花」を一体化させ、会うことのできない「おっかさん」の身を案じているのです。正解は③。
問七 
「そんなら出て行ったらいいじゃありませんか。おじさんには私とちがって手も足もあるんだから。」とあるように、なぜ手も足もあるのに出て行こうとしないのかと疑わしく感じています。正解は②。
問八 
「わるい人が私をここへ連れて来なければ、わたしのおっさかんにしても、菊さんをこんなところへ入れはしなかったのだよ。」
「そうでしょう。きっとそうです。」という一連の会話があります。
「わるい人」によって連れて来られたということに深く納得し、「そうでしょう。きっとそうです。」と答えたのです。正解は②。
問九 
「花のこころ」は、次のように説明されています。
「どういうわるいところへ入れられても、そこでありったけの力で生きていく。それが花のこころ、花のいのちです。」
どのような環境でも、そこで美しく花を咲かせるのです。正解は④。
①は「他者との共存」が×。本文中で述べていません。
②は「むなしく生き続ける」が×。「花のこころ」は前向きな気持ちです。
③は「現実をやりすごす」が×。現実と向き合うことが必要です。

問一 
語句の意味を問う問題
(2)選択肢の中から辞書的な意味を選べばよい。「文脈」の意味は「文章の筋道」であり、②が正解。
問二
空欄に入る語句を抜き出す問題
 本文1行目~3行目に「理想的なコミュニケーションとはどういうものか。私はクリエイティブな関係性だと思う。クリエイティブとは、新しい意味がお互いの間に生まれるということである。」とあり、空欄Aは「話をすることでお互いにとって新しい意味が生まれるという関係」を指すので、正解は「クリエイティブな関係性」となる。
問三
傍線部1の指す内容を探す問題
傍線部1「先ほどのケース」とはどのような場合かを、連続する三文で探す問題である。これより前の部分を見ると、「たとえば、~」で始まる箇所があり、ちょうど連続する三文で、あるケースがあげられている。文脈からも判断し、ここが正解となる。
問四
傍線部2の内容を問う問題
 まず、傍線部2「意味に日付と場所を書き添えることさえできる」という表現が比喩的なものであることをおさえる。選択肢④のように、実際に「意味に日付と場所を記すこと」ではない。「日付と場所を書き添えることができるくらい(その意味が)鮮明に印象に残る」ということである。ここで述べられているのは、「クリエイティブな対話(の関係)」が、「お互いにとって新しい意味がその場で生まれる」ことであり、「二人で『ああ、そうだったのか、気づかなかったね』と喜び合うような瞬間がある」ことであり、そのような対話には「謎が解け、霧が晴れたような快感」があり、「脳が活性化し、ワクワクするような気持ち」があるということである。そして、その「クリエイティブな対話」において「今、ここでこのメンバーで対話をしているからこそ生まれた意味がある」ことの大切さを述べているのである。すなわち、「クリエイティブな対話」は、お互いにとって「新しい意味」を生み、それは「脳が活性化するような」刺激的で鮮烈な感覚とともに、その時、その場で、そのメンバーで対話したという経験としていつまでも残るということを言っているのである。よって、正解は①。③のように「理想的なコミュニケーション」にとってこの対話経験が不可欠だという視点で述べているわけではない。
問五 
脱文を本文に戻す問題
 本文から抜けた文は「しかし、そうした練習期間を経ることによって、自分自身と対話する構造を対話に組み込むことができるようになるはずだ。」という一文である。「そうした(練習期間)」という指示語、「自分自身と対話する構造を対話に組み込むことができるようになる」という内容をふまえると、〔Ⅲ〕を含む段落に「対話を深めるための工夫として、自分自身と対話する関係を対話中にもつくるということがある」として具体的な試み(=練習)が提示されており、脱文の内容と呼応する。また、「慣れないうちは、~難しいかもしれない。そのために、会話が途切れ途切れになることもあるだろう。」という箇所の続きとして、脱文の「しかし、~」という接続語もスムーズにつながるところから、〔Ⅲ〕が正解となる。
問六 
空欄に入る語句の組み合わせを問う問題
 空欄Bを含む段落に、「文章を書くという作業は、自分自身と対話する作業である。」とあり、その言い換えとして「言葉になりにくい感情をあえて言葉にする(=文章を書く)ことによって、気持ちに整理がついていく(=自分自身と向き合う/自分自身と対話する)」
ということが述べられている。したがって、「言葉にすることによって、感情に形が与えられる」というように、空欄Bに「感情」という語が入ると文意が通じる。
 空欄Cは、文脈から判断する。「対話を深めるための工夫として、自分自身と対話する関係を対話中にもつくる」ために、「意識の全体量を十」とした時に、「相手との会話に十使ってしまう」のではなく、「(意識の全体量の)半分の五を自分自身の問いかけに使ってみる」ことをすすめた後に、「慣れないうちは、相手への意識と自分への意識の二つを○○させることが難しいかもしれない」とある。相手との対話中に、意識の半分は相手に対して使い、もう半分は自分自身に対して使うという二つを成立させることの表現としては、「両立」が適当である。従って空欄Cには「両立」が入る。正解は④。
問七 
傍線部4に関連して「対話を深めるための工夫」について整理する問題
 本文から【対話を深めるための工夫】を三つ探す。「対話を深めるための工夫」あるいは「深い対話」というキーワードを見つけるとよい。
○自分の中に埋もれている暗黙の知を掘り起こしながら対話すること。(→傍線部4を含む一文からあげられる。)
○自分自身と対話する関係を対話の中にもつくること。(→〔Ⅲ〕を含む段落の冒頭部分からあげられる。
○【正解】言葉にしにくい「心の感触」をあきらめずに辛抱強く持ち続けること。(→〔Ⅳ〕の後の段落からあげられる。)
問八 
傍線部6・7の内容を問う問題
(1)「対話力」と「より高い対話力」については、それぞれ本文に説明があるので、正確に読み取り、選択肢に惑わされないようにしたい。選択肢③は「対話力」のみの説明であり、「より高い対話力」の内容には触れられていない。「より高い対話力」とは、本文最終段落にあるように「相手の経験世界にまで思いを馳せ、相手が自分の経験世界に入っていく作業を助けることのできる対話力」のことである。したがって、正解は④。
(2)(1)をふまえたうえで、本文に「より高いレベルの対話力とは、相手の経験世界にまで思いを馳せることだ。相手が自分自身の経験を振り返り、微妙な心の感触を言葉にする作業を促し、それにつき添う。」とあるところに注目したい。①は、「現在流れている会話の流れをひたすらつないでいるだけの会話」であり「深い対話」とはいえない。②も④も、それぞれ自分の意識や自分の経験世界にしか目をむけておらず、相手の経験世界にまで思いを馳せ、助けることができる「より高いレベルの対話力」にはあたらない。正解は③。
問九 
筆者の考える「理想的なコミュニケーション」とは何かを問う問題
 ①は「対話的に情報伝達の質を高め、聞き手にとって新しい意味を獲得させ」というところが×。「聞き手にとって新しい意味を獲得させ」るのではなく、「お互いにとって」新しい意味が生まれるのが筆者の考える「クリエイティブな関係性」であり、「理想的なコミュニケーション」である。
 ②は「自分自身と対話する感覚を大切にしながら自らの思考を掘り下げていく」というところが×。この作業とともに「相手の経験世界にまで思いを馳せ、相手が自分自身の経験世界に入っていく作業」を助けることができ、双方に文脈が維持されているのが「理想的なコミュニケーション」である。
 ④は「相手がその感触にぴったりした言葉を辛抱強く探し続けることを要求し」というところが×。「要求」するのではなく、「促し、つき添う」ことが述べられている。
 ③が本文冒頭部分および本文末尾における「理想的なコミュニケーション」、「コミュニケーションの優れた形」をまとめており、正解である。

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弘前学院聖愛高等学校
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